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同社では現在、ヒューマンリソシアのGITエンジニアが複数の部門で活躍している。製造業向けソリューションを主に担うプロダクトソリューション事業本部 インダストリソリューション事業部にて、iOSアプリケーションの開発を担当するミャンマー人のナンさんもその1人だ。
優秀なIT人材を確保するための手段として、ヒューマンリソシアのGITサービスを導入したという同社。実際にGITサービスの海外エンジニアを迎え入れた開発現場ではどのような成果が得られ、また今後どのような効果を期待しているのか。担当者に話を伺った。
ナンさんが所属するプロジェクトのマネージャーを務める清船良介氏は、NSWがGITサービスを導入した背景について次のように説明する。
「ITエンジニアは他の職種と比べて人の出入りも多いため、優秀で長期間に渡って弊社で働いていただけるエンジニアを常に探していました。そんな中、優秀な人材を確保するための手段の1つとしてヒューマンリソシアさんのGITサービスを導入して、日本で長期間に渡って働いていただける外国人エンジニアの方を迎え入れることにしました」(清船氏)
もともと母国ミャンマーではWebアプリケーションのフロント系の開発やデザインに従事していたナンさんは、2018年にGITエンジニアとして来日し、Webエンジニアとして同社で働き始めた。しかし働き始めてすぐ、ナンさんがアサインされたのは、iOSアプリケーション開発の仕事だったという。清船氏は、これまでの経験とは異なる分野にナンさんをアサインした当時を次のように振り返る。
「当時私のプロジェクトにはiOSの開発スキルを持つ者がいなかったので、ナンさんに白羽の矢を立てました。未経験の分野の開発をお願いすることになり、普通なら躊躇してもおかしくない中、ナンさんは『分かりました、やってみます!』と前向きに取り組んでくれたので、とても心強かったですね。今後IoTやモバイルなどの技術を取り入れていく上では、ナンさんのように未知の分野に積極的にチャレンジしてくれるエンジニアが1人でも多くいてくれると本当に助かります」(清船氏)
日本にやってきたばかりで、しかも周囲は知らない人ばかりの異国の環境に入ったばかりの外国人エンジニアに、未経験の分野の開発を任せることに「まったく不安がないわけではなかった」と清船氏は話す。しかし本人の仕事に対する真摯な姿勢と、未知の分野を積極的に学ぼうとする前向きな姿を見て「この人ならきっと大丈夫だ」と直感したという。
その期待に応えるように、ナンさんは独学でiOSアプリケーション開発のスキルを短期間のうちに身に付け、めきめきと実力を伸ばしていった。当初は日本特有の高い品質要求や、ドキュメント類をきちんと整備する仕事文化に戸惑いを見せた面もあったが、ほどなくして日本式の仕事の進め方にも慣れ、現在ではむしろ自分から積極的に品質向上のための提案を行うまでに適応しているという。
また来日当初は、日本語による口頭でのコミュニケーションに若干のぎこちなさが見られたものの、周囲の理解もあり徐々に言語の壁も克服していった。
「仕事の進め方や内容について、口頭による指示だけでなく、プロジェクト管理ツールを使ってきちんと明文化するようにしました。口頭では正確に伝えるのが難しいような込み入った内容でも、ツール上で文章の形になっていればインターネットで翻訳することで理解してもらえます。またほかのエンジニアやお客様とは、言葉だけでなくソースコードや成果物などを通じて意思疎通が図れますから、大きな問題は感じていませんでした」(清船氏)
もちろん、ナンさん自身も日本語上達のために猛勉強を続け、その結果3年経った今ではすっかり流暢な日本語を操るようになった。職場で周囲の日本人エンジニアとごく自然に日本語で会話を交わすのはもちろんのこと、日本人向けTOEIC試験を受けて高得点をマークしたり、日本語能力試験(JLPT)の最上級レベルであるN1にチャレンジしようというまで日本語力を高めている。
また技術面でのスキルアップも欠かさず、現在ではiOS開発のプロフェッショナルとして部署内でも一目置かれる存在となっている。さらに技術スキルのみならずマネジメントのスキルも身に付けようと勉強を続けており、プロジェクトマネジメントの国際的な資格であるPMI(Project Management Instituteが認定するプロジェクトマネジメントの資格)の認定試験にもチャレンジする予定だという。
まさに、チャレンジ精神旺盛だ。
そんなナンさんは、そもそもなぜ母国ミャンマーからはるばる海を渡って日本で働こうと思い立ったのか。
「もともと日本にはとても興味があり、ドラマなどをはじめとする日本のカルチャーが大好きでした。有村架純さんの大ファンなんです!それに日本は『高い技術力を持つ国』という印象が強くて、ITについても進んでいましたから、いつかはIT技術者として日本で働いてみたいという思いをずっと抱いていました」(ナン氏)
そんな念願が叶って、2018年にGITエンジニアとしてNSWで働き始めたナンさんだったが、やはり職場に配属された直後は戸惑うことも多かったという。ヒューマンリソシアの研修を受けて日常会話には困らないレベルの日本語能力は身に付けてはいたものの、やはり仕事上の細かなニュアンスのやりとりに関しては、なかなか自信が持てなかったという。
「自分がちゃんとした日本語を話せているのか、自分が伝えたいことがきちんと相手に伝わっているのか、当初はなかなか分からず不安に感じたこともありました。でも日本語を頑張って勉強したおかげで、こうしたコミュニケーションの不安も少しずつ解消していきました」(ナン氏)
経験のないiOSアプリケーション開発の仕事にアサインされたことについても、「新しい技術を勉強するのはとても好きですし、むしろいいチャレンジの機会をもらえたと思っています。それにチームメンバーやリーダーが常に相談に乗ってくれるので、不安を感じることはないですね」とあくまでも前向きにとらえているという。
最近は別のプロジェクトの仕事も任されるようになり、また新たな技術へのチャレンジが始まったが、「iOSのスペシャリストとしてスキルを磨きつつも、ほかの技術にもどんどん挑戦していきたい」と、エンジニアとしてのスキルアップに余念がない。
最後にナンさんはこのようなコメントを寄せてくれた。
「NSWにたくさんの機会を頂いていることを、心より感謝しています。これからも、みんなとしっかりコミュニケーションを取り、頑張っていきたいと思います」(ナン氏)
清船氏は、ナンさんのような海外出身のGITエンジニアを職場に迎えることの意義について、次のように話す。
「プロジェクトメンバーとして質のいい仕事をしていただけるのはもちろんのことですが、やはり英語に堪能なエンジニア人材を確保しておくことのメリットはとても大きいと感じています。例えば、近年ではオープンソースを活用した開発が主流になっていますが、オープンソースの情報や文献は日本語より英語の方がはるかに充実しているので、英語ができるエンジニアがいるのといないのとでは情報収集能力に大きな差が出ると思います」(清船氏)
事実NSWでも、ナンさんをはじめとする外国人エンジニアが最新技術に関する英語の情報をインターネットで調査して、その内容を社内の日本人エンジニアにフィードバックするような取り組みを頻繁に行っている。また顧客が英語でのやりとりに苦慮している際に、NSWの外国人エンジニアが急遽ヘルプに入るようなこともあるという。
さらに、周囲のエンジニアのモチベーションアップにつながる効果も大いに期待できるという。ナンさんのように意欲的にスキルアップに励み、猛スピードで成長していく海外出身のエンジニアの姿を目の当たりにして、「自分たちも頑張らなければ!」と刺激を受けて成長してくれるエンジニアが1人でも増えてほしいと清船氏は期待を込めて話す。
「日本のような遠い異国の地に来て働こうと思い立つ外国人エンジニアの方々は、やはり皆さん『何かを成し遂げよう!』という意欲がとても高いと感じます。そういう方々が短期間のうちに成長する姿を見て、『自分も成長しなければ』とモチベーションを刺激されるエンジニアが増えれば、組織全体の活性化につながるのではないでしょうか」(清船氏)