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――現在働いている5人のエンジニアの経歴について教えてください。
大西 いずれの方も、日本で言うところの学士号を持っており、内容はさまざまですが出身国でのエンジニアとしての実務経験を有しています。その際、日系企業で働いていたり、何らかの形でやりとりがあったりという方もいます。また5人とも、英語でのコミュニケーションは問題ありません。
――具体的な業務内容は、どういったものでしょうか。
玉井氏 海外案件のプロジェクトチームに加わってもらい、海外のお客さまと英語で直接会話しながら業務を進めてもらっています。工程的には、要件定義から、設計、開発、テストの全工程に対応してもらっています。
プロジェクトの性質上、英会話のスキルがないと業務が進まないのですが、皆さん英語は全く問題ありません。さらに、日本語についても問題なく他のメンバーとコミュニケーションをとれるレベルで、われわれが当初、期待した以上のスキルを持っているという印象です。
また、特に今回派遣いただいているエンジニアの方々は、スキルアップしたいというモチベーションが非常に高いので、今後は、より難しい工程にチャレンジしてもらったり、本人の志望と実績に応じたジョブチェンジ、スキルチェンジなども行っていったりすることを視野に入れています。
――勤務時間、特に残業の状況などについては、いかがでしょうか。
玉井氏 仕事には、時期的な山や谷があるので、どうしても集中的に忙しくなってしまうタイミングはありますね。ただ、「効率的に仕事をして、プライベートの時間は自由に使おう」という社風なので、外国人エンジニアの方々にも、それに沿って勤務してもらっています。仕事が終わってもムダに長時間会社にいたり、プライベートの時間が全くとれないほどの残業が必要だったりといったことはありません。
大西 外国人エンジニアには、業務時間以外に自分のスキルを上げるための時間を確保することをとても重視される方が多いですね。スキルアップのために、勤務時間内でのパフォーマンスを高めようとしますし、そのことがモチベーション維持にもつながっているようです。そのため、派遣先のクライアントには、可能な限り休日出勤や過度の残業につながらないような労務管理をお願いしています。
またヒューマンリソシアでは、エンジニアがプライベートの時間に受講してスキルアップにつなげられるようなオンラインコンテンツの提供を始めており、こちらについても、徐々に強化していきたいと考えています。
――キヤノンITソリューションズでは、今後さらに外国人エンジニアの採用を増やしていく計画はありますか。
玉井氏 冒頭で紹介したプロジェクトリーダーも、海外での業務経験があり、さまざまな国籍の社員が同じチームで仕事をする環境は当たり前だという感覚がありました。今回の外国人エンジニアの採用も、そういった意味では特別なことではなく、普通のこととして進めてきた感じはありますね。今後も、プロジェクトの拡充などに応じて、採用数を増やしてきたいと考えています。
また最近では、これまでそうした経験がなかった社内の他の部門でも、外国人エンジニアを採用したいという話が出てくることがあり、先行しているわれわれが相談を受けることが多くなっています。何度か採用の実績ができれば、日本人にこだわらず、さまざまな国籍の人と一緒に仕事をする文化は、われわれの部門以外にも急速に根付いていくでしょう。
――最後に、外国人エンジニアの採用を検討している企業に対して、ご経験からのアドバイスなどがあれば、お願いします。
玉井氏 まず、彼らに対して先入観を持たないことが必要です。外国人であっても、日本人の採用と同じように、1人のエンジニアとしてフラットに判断する意識を持つことが第一歩です。もちろん、相手に応じた受け入れのための態勢づくりなどは必要になりますが、それはその後の話になります。
実際に外国人エンジニアと一緒に働く中で、日本人の既存メンバーにも良い影響が出ていると感じています。例えば、その一つは「コミュニケーションの活発化」です。これまで、日本人だけの職場で「あうんの呼吸」や「暗黙の了解」で済んでしまっていた部分を、外国人が入ってくることで、互いにきちんと正確に伝えたり、確認したりしようと努力するようになりました。そのような形でコミュニケーションが活発になると、結果的に成果物の品質も上がってきます。これは副次的な効果ではありますが、実際にそうした影響も出てきています。
その意味でも、外国人エンジニアの採用を考えている企業は、ぜひ積極的に進めてほしいですね。決して後悔はしないと思います。
大西 われわれとしては、日本での生活のしやすさや、日本のITを知ることによるスキルアップなどを視野に入れながら、海外にいる多くのエンジニアに、「ぜひ日本に来て活躍してほしい」との思いで、GITサービスを拡充しています。
現在は、33カ国をフォローしており、採用しているエンジニアの多くは母国語と日本語に加えて、TOEICで800点以上の英語スキルを保有しています。今後はキヤノンITソリューションズさまのプロジェクトのように「英語力」を持ったエンジニアへのニーズがさらに高まっていくと考えています。それを踏まえて、英語圏エンジニアの採用も増やしていこうと活動しています。
また、玉井さまからもお話がありましたが、外国人エンジニアを採用するに当たっては、共に働く日本人エンジニアへの良い影響も、ぜひ視野に入れていただきたいと思っています。
海外のエンジニアと一緒に仕事をすることで、日本のエンジニアや派遣先のクライアントも、気付くことが多くあると思います。それは、仕事やスキルに関することに限らず、彼らの文化に関するものや、母国そのものへの関心かもしれません。もしかしたら、そこから今後の生き方やビジネスに影響するような大きな変化が生まれることもあるでしょう。今後の日本人や日本企業にとって、国内に固執せず、グローバルの一員として動いていくことの重要性に気付くということも、外国人と一緒に働くことの効果の一つとして考えていただければうれしい限りです。
玉井氏と大西氏の後ろにいるのが、ヒューマンリソシアのGITサービスを通じて、キヤノンITソリューションズで働いている5人の外国人エンジニアたち。出身国やキャリアはさまざまだが、日本での仕事の状況について聞くと「多くの仕事を任されることでやりがいを感じている」「これまでやってきた仕事の中では得られなかった新しい経験やスキルを積めていることがうれしい」「分からないことについて聞くと、周囲の人たちがとても親切に教えてくれ、不安なく仕事ができている」といった感想を語ってくれた。