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KISのSCソリューション事業部では、製造業向けの生産管理系システムのスクラッチ開発とMES/ERPパッケージ導入を中心としたサービスを提供しており、近年ではIoT、AIを活用した独自ソリューション開発も手掛けるなど、DX推進にも取り組んでいる。国内ユーザー向けにMicrosoft社のERPパッケージであるDynamics AX/365の導入・運用保守業務も担当していた同事業部では、2019年当時、顧客の要望で英語圏のエンドユーザー対応を行うことになったという。そこで社員への英語教育を行いつつ、ERPの経験を持ち、英語が話せるエンジニアの採用を目指したが、採用は難航していた。
そのような状況で、ヒューマンリソシアが海外エンジニアの派遣サービスを行っていると知り、話を聞いてみることにしたという。当時のことを、SCソリューション事業部 SC第二ソリューション部の坂本貴司氏は次のように振り返っている。
「メンバーへの英語教育を急遽行いましたが、習得にはどうしても時間がかかります。そこで、ERPに詳しく、英語に対応できるエンジニアを採用したいと考えましたが、そもそもERPができるエンジニアは引く手あまたで、なかなか採用ができませんでした。顧客からの要望もありますので、頭を悩ませていたところ、当社のスタッフ部門がヒューマンリソシア様のGITサービスを紹介してくれました」(坂本氏)
過去に別のエンジニア派遣会社から外国籍のエンジニアを紹介され受け入れた経験を持つという坂本氏。GITエンジニアの活用を決めた当時の印象について聞いてみたところ、過去を思い起こしながらこう答えてくれた。
「過去に受け入れた外国籍のエンジニアは、日本語があまり理解できず、説明して『わかりました』と言っても、半分も理解できていないこともありました。また作業品質も当社が求めるレベルに達していないことが多分にありました。そうした経験から、正直なところ、当初GITサービスにそこまで期待はしていませんでした。まずは試してみようと考えたのです。しかし実際、はじめてGITエンジニアと話してみたら、以前の外国籍エンジニアと比べると格段に、日本語での会話が成り立っていると感じたことを覚えています。」(坂本氏)
現在、同部署では、ERPを専門としてきたスリランカ出身のGITエンジニア ガンダリ氏が運用保守を中心に活躍している。
実はガンダリ氏を受け入れると決まってから、坂本氏はチームメンバーと、スリランカの文化について事前に調べたのだという。しかしそういった心配をよそに、着任後、文化の違いによる問題は起こらず、むしろ、ガンダリ氏が日本のビジネスマナーをしっかりと身に着けていたことに驚いたと坂本氏は話す。
「日本では問題のない慣習や言動が、スリランカの方にとっては失礼に当たってしまわないかといった文化的な面の心配はありました。そのため彼女が着任する前に、不安を抱かせることがないよう、スリランカの風習や慣習を調べ、日本との違いを確認し準備したんです」(坂本氏)
と話してくれた坂本氏。では実際、ガンダリ氏がチームに加わり、どうだったのだろうか。
「実は、あまり問題を感じたことはなかったのです。ビジネスマナーや日本の書類や商習慣、プロジェクト進行の特徴など、ヒューマンリソシア様がしっかり研修してくれていたので、日本のIT企業で働くために必要な知識を理解してくれていました。驚くことに、むしろ自分たちが初心に立ち返ってしまうほど、しっかりとした立ち居振る舞いをしています」(坂本氏)
ガンダリ氏はスリランカ時代にSAPの運用を経験していたため、ERPの知識への不安はないものの、同社で運用することになるのはDynamicsだ。使用するパッケージの違いによって起こる動作の違いや特徴など、業務上のやり取りはどうだったか聞いてみたところ、坂本氏は次のように答えてくれた。
「SAPとDynamicsの操作性や動作の違いなどは、説明すると一度で理解してくれます。彼女がまとめたノートを見せてもらったことがあるのですが、しっかりとまとまっていて、理解できていることがよくわかるものでした。担当業務への理解も高く、『勘所』がすごく鋭いと感じています」(坂本氏)
そして、彼女が大いにその力を発揮しているのは、ビジネスレベルの英語力を活かした、海外ユーザーとのやり取りだ。
「ガンダリさんには、日本、アメリカ、イギリスにいるエンドユーザーからのメール問い合わせの対応や、各種作業依頼の対応もしてもらっています。海外からの問い合わせは、一日一件は必ずありますが、どれも滞りなく対応してくれています。日本のお客様からも『ガンダリさんはしっかり対応してくれる』というお声を頂くなど、高く評価いただいています。私たちが英語の対応をする場合には自動翻訳を使いますが、細かいニュアンスがわからないことはよくあります。ガンダリさんが来てくれたことで、そういった部分を詳細まで確認することができるので、その点でもとても助かっています」
「また、ミーティングでも私たちが忘れかけているタスクを指摘してくれることもたびたびあるんです。スキル面だけではなく、きっちりとして真面目な性格なので、本当に安心して仕事を任せています」(坂本氏)
ガンダリ氏と共に業務をすることが多いSC第二ソリューション部の中井眞嗣氏はガンダリ氏の働きについてこう感じているという。
「日本語が上手だと言っても、やはり言語の違いはあります。そのため彼女自身、私たちからの指示やエンドユーザーの要望の認識にずれが起きないよう、十分注意してくれていると感じています。相手への確認を漏らさず、受けた仕事は怠らずにやるという姿勢は、エンジニアとして何より大切で、彼女の良いところです。ミスもなく、しっかりとパフォーマンスを発揮できていると感じています」(中井氏)
言葉の壁があるからなおさら確認を怠らない、そしてそのことにより、ミスが減り、良いパフォーマンスに繋がる面がある。さらに中井氏は、こう語ってくれた、
「何より彼女は、ERPが大好きなのです。ERPエンジニアが不足する中、とても貴重な存在です。そんな彼女と一緒に働いていると、大好きな仕事に前向きに取り組む姿勢が丁寧な仕事につながっていると感じます」(中井氏)
ヒューマンリソシアのGITサービスは、派遣エンジニアへのサポートも行っているが、そのサポートについて坂本氏に聞いたところ、次のように回答してくれた。
「派遣エンジニアは派遣先に直接は言いにくいことがあると思いますが、ヒューマンリソシア様は月一回、ガンダリさんの面談をしてくれて、間に入って本音を吸い上げてくれます。そのため、エンジニアも私たちも、変な我慢をせずに済むので、安心して業務を任せられています。他社では入れたら終わり、サポートは特にないことも多いのですが、ヒューマンリソシア様は入社後もメンタル面を含めてエンジニアへの手厚いサポートとスキルの支援をし続けてくれる点が大きな評価ポイントです。」
「彼女は我々とこれからも一緒に仕事をしたいと言ってくれているので、大きなストレスを感じることなく、仕事ができているのだなと分かり、ほっとしています。実は、これからガンダリさんは産休に入るのですが、後任もヒューマンリソシア様にGITエンジニアをお願いしています。ヒューマンリソシア様には引き続き、後任のGITエンジニアにも生活面と業務面でのサポートを行っていってもらえると嬉しいなと思っています」(坂本氏)
最後に、ガンダリ氏に日本に来た経緯と、働いてみた感想を聞いてみたところ次のように答えてくれた。
「夫が4年ほど日本に住んでいたことがあり、日本での仕事や文化についてよく聞いていました。その時から、日本で働くことは自分にあっているのではないかと感じていました」(ガンダリ氏)
では、どういった経緯で日本で働くことになったのだろうか。
「スリランカの大学で情報システム分野を学んだ後、SAPを取り扱う企業に入社し、サポートコンサルタントとして働いていました。この時、開発者やお客様とコミュニケーションをとる機会が多いことや、企業の経営を知ることができることからERPが大好きになりました。
そうして仕事をしていたらある時、卒業した大学から、ヒューマンリソシアが日本で働くエンジニアを探しているという求人募集のメールが届いたので、これはいい機会だと感じて面接に行ってみたんです。
それまで日本語を学ぶ機会はなかったのですが、ヒューマンリソシアでは、日本語の勉強はもちろん、ビジネスマナーや商習慣なども研修で教えてもらえると聞き、働いてみようと決心しました」
「研修は学ぶことが多くて大変でしたが、いま、現場でしっかり役立っていると感じています。日本の仕事のやり方は、スリランカと比べると厳しい部分もありますが、真面目で優しい人が多くて、自分の性格にはとても合う職場環境だと改めて考えています。これからも大好きな日本で、ずっと働きたいです。エンジニアとしては、次のステップとして、マイグレーションコンサルタントを目指し、ERPを極めていきたいと思っています」(ガンダリ氏)
異文化を理解しよう、尊重しようという姿勢――当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、これがグローバルでの同社のビジネスを成功に導くエッセンスになっているのではないだろうか。