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同社の硝子ソリューション事業部SAPグループでは、グローバル展開する製造企業向けにSAPシステムの開発・運用を担当している。グローバル運用体制を敷く同社では、以前より海外からのエンジニアを受け入れる土壌が整っていたというが、GITエンジニアを採用した経緯はどのようなものだったのだろうか。
硝子ソリューション事業部SAPグループの課長 勝城啓之氏は当時のことを、このように語ってくれた。
「ヒューマンリソシアさんとは、以前より、バイリンガル通訳者などを派遣していただく形でお付き合いがありました。そうした流れのなかで、海外エンジニア派遣『GIT(Global IT Talent)サービス』について紹介してもらったのです。当時、他社からも派遣でエンジニアを受け入れていましたが、エンジニア採用の選択肢を増やそうと思い、具体的にエンジニアを紹介してもらったのがきっかけでした。こうして出会ったのがニコラスさんでした」(勝城氏)
文化の異なる海外から人材を迎えるにあたって、不安はなかったのだろうか。
「実は、不安はまったくと言ってよいほどありませんでした。会社自体グローバルの運用体制を築いており、海外出身のエンジニアもいました。逆に、海外とのやり取りも多いため、英語は必須条件でした。日本チームの中ではコミュニケーションはもちろん日本語ですが、意思疎通ができれば問題ないと考えていました」(勝城氏)
ニコラス氏と一緒のチームで働いている硝子ソリューション事業部 SAPグループ Delivery supportチームの課長代理 野田武治氏は次のように話した。
「一緒に働くエンジニアが全員日本人でしたから、日本語でのやり取りはどうだろうか、という不安は若干ありました。しかし、実際に来ていただいたところ、日本語のコミュニケーション力が高いうえ、人付き合いの面も素晴らしく、すぐチームに溶け込んでしまいました」
こうしてNTTデータビジネスブレインズで開発業務に携わることになったインドネシア出身のニコラス氏。実は、どのプロジェクトにアサインするかを事前に決めていたわけではなかったそうで、ニコラス氏の経験やスキルがどの業務に合うのかを見極めたうえで、担当業務を決めたのだそうだ。また、採用当時、ニコラス氏の経験やスキルは、求めていたレベルに達しているわけではなかったという。
「ニコラスさんの場合、私たちが担当している『SAP』の経験はありませんでした。しかし、類似システムの経験があったため、まずは『データ分析系ツール』などを習得してもらいました」(勝城氏)
こうして、まずはスキル習得から始めたニコラス氏だが、実際就業開始してからはどうなのだろうか。
「ニコラスさんには、SAPとほかのシステムとの連携や、顧客企業の現状把握や予測につかう経営陣向けレポート作成といった業務など、問い合わせや要望への対応などをお願いしています。顧客の経営支援につながるツールを開発するプロジェクトでもありますので、製造業に詳しい外部コンサルの力を借りながら開発することもあります。エンジニアとしての技術だけでなく製造業の知識も必要な業務です」(野田氏)
この運用保守は、日本だけではなく、イギリス、アメリカ、ドイツなどの海外チームとコラボレーションしながら、グローバルに担当しているという。そのため、週1回はイギリスのチームと英語でミーティングを行うという。
「この運用保守業務では、お客様と英語でコミュニケーションするのですが、ニコラスさんは英語が使えるので助かっています。日本国内チームとのやり取りは日本語のため、その両方を使えるニコラスさんは、ピッタリの人材でした」(野田氏)
未経験の業務を担当することになったニコラス氏。チームにキャッチアップできた背景には、幅広いIT知識があるようだ。
「ITの本格的な勉強は、大学に入ってからです。大学でITを専攻して、プログラミングやデータベース、SQL、グラフィックス、ネットワーク、数学などを学びました。そして、卒業してから4年くらい、インドネシアでIT技術者として働きました」(ニコラス氏)
SAPの経験がないにもかかわらず主力メンバーの1人として活躍するニコラス氏に対する同社の評価は高い。
ニコラス氏のエンジニアとしての成長スピードについて、二人はこう表現した。
「彼の成長スピードは想像以上でした。」(勝城氏)、 「日本に来て働くだけあって、やる気の高さを感じますし、貪欲で、情熱的なほどです」(野田氏)
具体的にはどのようなことだろうか。
「技術の習得スピードが段違いです。たとえば、SAPを運用で使えるようになるのに、一般的に3カ月、4カ月といった時間がかかるのですが、ニコラスさんは1カ月、2カ月ほどで習得してしまいました。日本語も、来日前に2カ月くらいしか勉強していないというのに、問題無いレベルです。とにかく、モチベーションが高く、素早く技術を吸収します。今は、求める以上のパフォーマンスを発揮してくれています」(勝城氏)
「特定のデータ分析ツールのスキルは足りなかったので、イチから勉強してもらったところ、自ら調べてスキルアップし、すぐに習得しました。新しい知識を習得する能力が高いですね。分からないことがあれば、どんどん自身で調べますし、英語で最新情報を得られるから成長も早いのでしょう。 また、英語をネイティブ並みに話せて、グローバルチームとの架け橋にもなっています。引き続き積極的に関わって、中心メンバーとして活躍してもらいたいです。4月以降に入るプロジェクトによっては、新しい技術を学んでもらうかもしれません」(野田氏)
最初は経験のなかった業務であったにもかかわらず、ニコラス氏は今や教える立場になってきたという。
「頼られる職場の兄貴分、といった存在のようです。人当たりが穏やかで質問しやすいらしく、若手の相談に答えている姿をよくみかけます」(勝城氏)
ところで、ニコラス氏は、どうして日本という異国で働こうと思ったのだろう。
「『機動戦士ガンダム』のようなアニメが好きで、日本の文化に興味を持つようになりました。それで日本へ観光旅行したところ、日本で働きたくなったのです。日本行きを決めてから、就職情報サイトに登録してGITサービスに出会いました」(ニコラス氏)
柔らかい口調で、穏やかに話してくれたニコラス氏、実際に日本の職場で働く苦労などはなかったのだろうか。
「実際に働き始めたら、日本の職場はインドネシアとあまり変わりません。自然に職場に入れました」(ニコラス氏)
日本で働き始めて4年目となり、今ではすっかり欠かせないチームの一員だ。
「お客様がグローバル企業で多種多様な文化や宗教を受け入れていますし、当社もそういったことに拘りなどないので、ニコラスさんを支障なく受け入れられています。 以前は居酒屋へ一緒に行ったりしましたが、いまはコロナでそれはできないので、先日はオンライン飲み会をしました」(勝城氏)
このオンライン飲み会には、ニコラスさんも参加して、楽しんだという。
「在宅勤務が続くなか、ニコラスさんもほかのメンバーも孤独感を感じたりすることもあると思います。そのあたりは、意識してコミュニケーションを図るようにしています。毎朝のチームミーティングで、雑談を含めて情報共有するようにしています」(野田氏)
和気あいあいとした雰囲気で、親しみを込め「ニコちゃん」と呼ぶ勝城氏と野田氏、穏やかにやり取りするニコラス氏。このようなエンジニアと職場の双方にメリットがあるWin-Winの結果は、高い技術力と日本語力、英語力の揃ったGITエンジニアだからこそ。
「新しい技術を学ぶのが好きだし、興味があります」と話すニコラス氏、
このような意欲的で優秀な海外ITエンジニアと日本企業が出会う機会を、これからも提供していきたい。